【渡哲也さん追悼】くせがすごい!昭和の傑作アクション『東京流れ者』

先日8月10日に俳優の渡哲也さんが亡くなられました。

渡哲也さんと言えば、昭和後期に一世を風靡した名優。

特に70年代から80年代にかけての『西部警察』を代表とする刑事ドラマでは一躍人気を集めました。

そんな渡哲也さんですが、デビュー間もない頃の主演作品に、後世に語りづがれる強烈なインパクトを残したカルト的傑作があることをご存じでしょうか。

それが今回ご紹介する映画作品。『東京流れ者(1966年)』

この作品、映画マニアの間では極めて高い評価を得ており、なんとあの名作『ラ・ラ・ランド』も、本作からインスパイアされているとのこと。

リンク)日刊スポーツ:「ラ・ラ・ランド」監督、渡哲也主演映画オマージュ

本作品の魅力はズバリ『一度見たら忘れられない強いくせ』。

このくせとは、個性と言ってもいいですし、こだわりと言ってもいいですし、センスと言い換えてもいいかもしれません。

とにかく全編を通じてこの強いくせが、映画好きの鑑賞眼の琴線にことごとく触れまくるのです。

具体的にその強烈なくせとともに、この作品の魅力をお伝えしていきたいと思います。

1.主人公『不死鳥の哲』のくせが凄い


物語はやくざ稼業を引退した親分とその舎弟『不死鳥の哲』を軸にした義理と人情の任侠(?)ストーリー。

この『不死鳥の哲』を渡哲也さんが演じているのですが、とにかくキャラ設定のくせがすごい!

・いでだちは、青いスーツに白い靴(後半は全身白)。

・敵対組織からは「三度転んで駄目だと分かるとハリケーンを吹かす男」と恐れられている。

・銃の射程距離は10メートル以内。

・何の脈絡もなく、「東京流れ者のテーマ」を歌いだす。(歌えば雪深い山道だろうがどこだろうが伴奏が付いてくる。)

・罠には基本的にすべて引っかかる。

ざっとこんな感じ。

このキャラを若き日の渡哲也さんが真剣に演じているのですが、この無骨さと柔和さがあいまった渡哲也さんが何とも絶妙にこの世界観にはまっていて、実にいい味を出しています。

劇画はキャラ立ちで決まると言われていますが、その理論でいえばこの『東京流れ者』はパーフェクト。渡哲也さんの強烈な存在感がこれでもかと輝きまくっていて、それだけでも見る価値十分の作品となっています。

2.画面の色彩感覚のくせが凄い。


物語は上述の通り、やくざの任侠作品ではあるのですが、なぜか要所要所でミュージカルの舞台のような極彩色のセットが現れるのです。

シリアスなやくざの抗争物語に放り込まれる突然の虚構。

これらの場面が挿入されるたび、まるで見てはいけない舞台裏が透けて見えてしまったかのような、一種独特な味わいをもたらせるのです。

とくにラストシーン、ナイトクラブの銃撃戦は圧巻。

この世のどこにも存在しない二次元の中のようなシーンの連続は、他に探しても見ることができないインパクトがあります。

3.カットつなぎのくせが凄い

これは若干マニアックな要素ですが、この作品では要所に大胆な省略や時間的空間的関係を全く無視した場面転換が現れます。

例えば今まで上下に位置していた人物が次の瞬間、全く違う位置関係で相対している、またはカースタントをしていた敵味方同士が次のカットでそれぞれ別のことをしているなど。

一切説明されない時間・空間的な行間。これはジャンプカットとも呼ばれる技法で、あえて不要な部分を飛ばすことでスタイリッシュな切れを発生させる高度な映像編集技法ではあるのですが、しかしここまで突き抜けているのは稀。

逆にここまで思い切ったものだと潔さすら感じてくるもので、だんだんこの独特なくせが病みつきになってくるのです。

ちなみに本作の監督は故・鈴木清順さん。

Wikipediaより

アバンギャルドな作風で、世界にその名を轟かせた映画界の大巨匠です。

まとめ

渡哲也さんがそのキャリア初期に演じた『東京流れ者』。

この作品の独特なくせというか個性というかこだわりというかセンスは、放映から50年を経た現在でも尚語り継がれています。

ただ、時代の移り変わりの中で、知る人ぞ知る作品となりつつあるのも事実。これはなんとも惜しい。

渡哲也さんをご存じでない方でも、「映画が好き」と自称する方であれば是非一見をお勧めします。

きっと何か新しい発見を得られることでしょう。

と同時に、世に惜しまれつつ亡くなられた渡哲也さんという方の強烈な存在感を、いつまでも記憶にとどめていただければと思います。

渡哲也さん、ご冥福をお祈り申し上げます。

《情報》
◇作品名:東京流れ者
◇制作年:1966年
◇時間:1時間22分
◇監督:鈴木清順
◇出演:渡哲也、松原智恵子
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