【あしたのジョー】あまりにも不憫な矢吹丈のデビュー戦相手
あしたのジョーといえば漫画史に残るほどの名作。

物語は主人公、矢吹丈の破天荒な性質がボクシングで開花し、世界にその名を知られるようになって行くサクセスストーリー。
ただ通常のスポーツ漫画と異なり、ボクシングという競技ならではの仄暗い青春が色濃く漂っており、文学的にも高く評価される名著として、発表から50年を経過した今でも読む人を魅了し続けております。
特に、作中に登場するの登場人物たちは気持ちが悪いほどの実存感を伴っており、中にはその死にファンが葬式まで執り行ったという珍事さえ発生してしまうほど。
少し、その主な対戦相手をご紹介します。

まず、序盤のライバルであり、ジョーをボクシングに導くきっかけとなった男、力石徹(りきいし とおる) 。

そして中盤、落ちぶれかけたジョーをふたたびリングに導いた南米の至宝、カーロス・リベラ

さらに最後の対戦相手、誰もがその実力を認める世界チャンピオン、ホセ・メンドーサ。


いずれも非常に魅力的に描かれる対戦相手の数々。往年の読者の皆様はその名を聞いただけで胸が高鳴ることかもしれません。
ところがそうした数々の魅力的な対戦相手の中、どういうわけだか矢吹丈がプロボクサーとしての第一歩を飾る『デビュー戦の相手』はあまり知られていないようです。
ましてその名前を記憶している人など、ぼぼ皆無!
と、いうわけですので、ここにその対戦相手をご紹介しておきたいと思います。
それが彼。矢吹丈のプロデビュー第一戦目の対戦相手:村瀬武夫(むらせ たけお)

いかがでしょう。
程度の差こそあれ、おそらく皆さん次のようにお思いになったのではないでしょうか。
『ふーん。』
そう。
おそらくそれが正しい反応でしょう。
というのもこのデビュー戦の相手、とにかく没個性。
あえて記憶に残らない相手として描かれているようなのです。
でもこれにより、ジョーにとってプロボクサーとしてデビューすることはただの通過点に過ぎないことを克明に表しており、同時にジョーの計り知れないポテンシャルを暗示しているのです。
ただそれにしても村瀬武夫、あまりにも不憫。
ジョーに敗れるためだけに生み出され、ジョーの引き立て役としてだけのために造形された男、村瀬武夫。
あまりに不憫なので、村瀬武夫のためにギャラリーを組んでみました。
いかがでしょうか。
程度の差こそあれ、おそらく皆さん次のように思ったはずです。
『ふーん。』
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