大友克洋の凄さを伝える奇跡のヒトコマ
大友克洋さんといえば、日本を代表する漫画家といっても過言ではありません。
その画風や表現技法は当時の漫画に革新をもたらせたと言われており、日本の漫画史においては「大友以前」と「大友以後」とで大きなパラダイムシフトを起こしたとされています。
大友克洋さんの凄さを伝えるサイトは数多くあるのでここでは多くを語りませんが、ただ、個人的にその凄さをつぶさに感じ入る一コマがあるのでここにご紹介します。
それがこちら。
大友克洋さんの代表作「AKIRA」にて、敵役の鉄雄が検査を受けている様子。
やや専門的に言えば血管造影の装置のようにも見えるこの装置。しかしリング状に配置されたエックス線管をみるとCTスキャナーでもあるかのよう。もしかすると両方の用途を兼ね備えた夢のような装置なのかもしれません。
特に寝台を支えるアームの構造は見事でして、可動部分を見る限り、どんな方向にも角度がつけられる形状だと考えられます。 (実はこれは画像診断装置としては非常に重要なことなのです。)
総じてこの装置、きちんと画像診断装置のことを理解していないと絶対描くことはできないデザインなのです。
しかもこのヒトコマが書かれたのは1982年頃。世の中ではようやくCTスキャナーが普及し始めた時代。こんなデザインの装置、当時はもちろん今だって存在しておりません。
まるで一歩先の未来をみてきたかのようなセンス。
医療従事者でもなければ機械工学者でもない大友克洋さんがいったいどうやってこの装置のデザインに行き着いたのでしょうか。想像だけで描いたのだとすればとてつもない偉業です。
まさに奇跡のヒトコマとしか言いようがありません。
ちなみにこちらは現存の画像診断装置。雰囲気はちょっと近づいてるも…。
「AKIRA」にはこの他にもさまざまな近未来メカが描かれていますが、いずれも現実にあってもおかしくなさそうなリアリティを彷彿させるデザインを伴って描かれております。その精密さ、精巧さ、こだわりは圧巻の一言。
「AKIRA」が発表されて既に30年以上の月日が流れておりますが、いまだに古びることがない名著・名作として世に知られております。
未読の方はある意味ひじょうに「もったいない」。
是非是非、必読の書です。
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