渡哲也さん主演の『紅の流れ星』がオモシロイ

前回、渡哲也さん主演の『東京流れ者』をご紹介しましたが、それとセットで是非おすすめしたいのが、この『紅の流れ星』。

公開時期も近く制作も同じ日活、渡哲也さん扮するガンアクションという内容や、タイトルの字面もなんとなく似ているため、なにかと『東京流れ者』と関連して語られることも多いこの作品。

がしかし『東京流れ者』がスタイリッシュなセンスに光っていたのに対し、こちらは独特な野暮ったさとシュール感がまぜこぜになった不思議な作品。その絶妙な味わいは愛してやまない魅力があります。

作品の見どころは以下3点。

1)主人公『ゴロー』の面白さ。

2)ヒロイン・浅丘ルリ子さんの美しさ

3)全編を通じたシュールな作風。

1)主人公『ゴロー』のおもしろさ

この作品は殺し屋家業の『ゴロ―』が東京から神戸に流れて華々しく散るという内容。

シンプルなストーリーなので主人公の個性が重要な要素ですが、その意味で本作の『ゴロ―』は100点満点。

『ゴロ―』は「アウトローで気障で女たらしの殺し屋」というある種のステレオタイプのキャラ設定なのですが、これを渡哲也さんが演じているということが大きな特徴。

そのフィルモグラフィーをみても分かる通り、渡哲也さんは硬派な役どころが持ち味の俳優さんであるはずなのに、まるで真逆と言ってもいいほど不釣り合いな配役。結果として『ゴロー』は絶妙に不思議な、まるで画面から浮き彫りになったような存在感を醸し出しているのです。

劇画の中から飛び出してきたような奇抜な格好も、べたべたな気障なセリフも、大味なふるまいも、何から何まで全部クセ。見ているうちにだんだんこの『ゴロ―』に愛着を覚えずにはいられなくなってきてしまいます。

2)ヒロイン・浅丘ルリ子さんの美しさ

浅丘ルリ子さんはコケティッシュな可愛らしさが魅力の女優さんでしたが、ある時期から超次元的な美しさを放つ女優に変身してゆきます。

この「紅の流れ星」が製作された時期は丁度その変身の絶頂期で、作中でも浅丘ルリ子さんの美貌をこれでもかと押し出すようなシーンがわんさか登場します。

オーラ全開の浅丘ルリ子さんの存在感はとにかく圧巻。映えに映えまくった鮮やかな衣裳とともに、我々の視覚を存分に楽しませてくれます。

そしてこれが先に紹介したおかしな具合の『ゴロ―』と絡むことになるのですが…。

3)全編を通じたシュールな作風

で、この作品では上述の通りの二人がメインキャストになりますので、当然の如く絵面がどこか現実ばなれした様相となってきます。

加えてこの作品は当時のフランス映画の流行だった“ヌーヴェルヴァーグ”という一連の作品群の影響を受けているらしく、要所要所にそれっぽいカットが見られます。

更にラストシーンなどはほとんど某有名フランス映画のパクリオマージュ。

ここまでくるとどこか突き抜けたような魅力を発揮してくるもので、郷愁をそそる音楽や、狙いすましたかのような雑味のある演出なども手伝い、何とも解釈のしようがないシュールな印象としてじわじわと記憶に残るのです。

昭和モダンの空気が色濃く漂っているので、懐かしさを感じる方も多いのではないでしょうか。

まとめ

やや言いたい放題言ってきましたが、なんだかんだ言って私はこの「紅の流れ星」が大好きです。

この時代は映画産業が盛んで、海外にも轟くような邦画の名作が数多く生まれていますが、その裏でこんなにファニイで愛くるしい映画があったことを、どれ程の人が知っているでしょうか。

先月、渡哲也さんが世に惜しまれつつ他界されましたが、だからこそ今是非、多くの肩に見ていただきたい作品です。

◇作品名:紅の流れ星
◇監督:舛田利雄
◇出演:渡哲也、浅丘ルリ子、宍戸錠
◇制作:日活
◇劇場公開:1967年10月

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ところでこの『紅の流れ星』は、同監督による『赤い波止場』という作品のリメイク。

『赤い波止場』は、若き日の石原裕次郎さんのキレッキレの爽快さが光る傑作だったのですが、同じ監督が同じシナリオでリメイクをした結果、何故『紅の流れ星』が出来てしまうのかさっぱり分かりません。

鑑賞のポイントがまったく違っているのでどちらがいいとは言えませんが、両方見比べてみると実に興味深いので、こちらもおすすめです。

◇作品名:赤い波止場
◇監督:舛田利雄
◇出演:石原裕次郎、北原三枝、
◇制作:日活
◇劇場公開:1958年

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