コスモジェネシスの地獄1(全2回)

エグゼドエグゼスで手痛い思いをした私はその後、慎重にゲームの情報を収集し、コンスタントに面白いゲームを購入してゆきます。

グーニーズ、影の伝説…、その後も長く語り継がれる名作ゲームに出合ったそのころ。

順調に良作ソフトに出合い、ファミコンライフを満喫します。

グーニーズと影の伝説

ところがエグゼドエグゼスの悲劇から1年もたった頃、私はまたもや「既存のゲームにはないような面白さ。」を求め始めてしまいます。

そんな折、心をぐっと引き寄せられたのが、某ゲーム雑誌でしきりに拡販活動が行われていた最新ゲーム『コスモジェネシス』でした。

コスモジェネシス_ファミ通

記事に紹介される画面写真はなかなかのもの。特に複雑な計器にかこまれたコックピット越しに広がる広大な宇宙空間は『機動戦士ガンダム』を見て育った少年の魂を鷲掴みに。

ああ、おそらくこの宇宙空間の向こうから襲い掛かる敵をバッタバッタと撃ち倒してゆくのだろう。

それは幼いころから夢に描いてきた世界観そのもの。

さまざまな憧れを叶えるかごとく、コスモジェネシスは少年の手に届きます。

コスモジェネシス

早速ゲームをスタートすると、爆音とともにカタパルトから発進

すると画面いっぱいに広がる美しい星空。

いやが応もなく盛り上がるテンション!

ところがこの後、思いもよらない状態に困惑。

何をしてよいのかさっぱりわからない…。

勢いよく発進したはいいが、本当にただただ宇宙空間に放り出されたままで、一向に敵が襲ってくるわけでもなければ、アイテムが出現するわけでもなく、ただひたすら暗黒の空間を浮遊するだけ。

まるで狐に包まれたかのような思いにとらわれながら、必死で説明書を読み漁るも、なかなか理解が追い付かない。

というのもこのゲーム、少年の思いをはるかに超越したゲームシステムとなっていたのです。

宇宙空間のマップを開き、座標を指定してワープを繰り返し、パワーアップや補給を繰り返しながら敵のエリアに突入し、エリア内の敵艦隊を殲滅。さらにもたもたしていると座標上で敵が徐々に自陣に迫って来、最終的に自軍の母船が破壊されるといった本格ぷり。

座標と機体の状態を常にチェック

今にして思えばそれは戦闘シミュレーションと360°マルチビューのシューティングという凄い要素を持ち合わせた、画期的なゲームシステムだったのですが、普段、自機をあやつりぴゅんぴゅんと敵を撃ち倒すゲームしか体験してこなかった小学生にとってはあまりにも難解。

どこか突き放されたような思いに、少年の心は大きく戸惑います。

それでもどうにかこうにかシステムを理解し、ひたすら宇宙空間でワープを繰り返す作業を乗り越えたうえ、ようやく敵艦隊エリアに到達。

すると早速レーダーに敵反応!

ビーコンサインとともに画面に表示される無数の敵マーカー!

きた!

これこそ、まさに憧れていたスペースシューティングの世界!

ところが敵と交戦に入った瞬間!

一瞬で爆沈!

それはもう、嘘のような瞬殺劇。

ゲームオーバーの文字を眺めながら呆然自失。

え…。

これまでの地道な作業っていったい何?

ひたすらワープを繰り返した数十分の努力って、いったい何だったの??

これは何かの間違いに違いない。

きっと重要な何かを見落としていたのだろう。

でも気を取り直して再度トライしても、結果は同じ。

敵のエリアに突入したとたんに、全方位からメッタクソに被弾。

あっという間にゲームオーバー。

実はこのゲームの本格志向は、戦闘シーンにこそ色濃く表れていたのでした。

通常、戦闘機一機で敵陣に突入すれば、四方八方から囲まれてハチの巣になるのは自明の理。

普通のシューティングゲームはその現実をぐっと引き下げてゲームたらしめているのです。

ところがどういうわけだかこのコスモジェネシスの場合、現実そのままの無謀というか、自殺同然の突撃体制が基本。本当に単独一機で敵艦隊に真っ向勝負するスタンスとなっているなのです。

なので、それはもう無茶苦茶な難易度。

ゲームクリアどころか敵機を2,3機打ち落とすのがやっと。

何度やっても、何度やっても、何度やっても、全く駄目。

度重なる失意の末、少年は悟るのでした。

「このゲームは、できないんだ…。」 と。

それは人生で初めて体験する、途方もない虚無でした。

コスモジェネシスの地獄2に続く

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